スマホの性能表の意味とは
性能表に乗ってる言葉の意味ってなんなの?なんで?の答えにもう一歩踏み込んでさくっと解説をお届けします。

スマホのCPU性能を比べる為のベンチマークの見方と信頼性について

CPU性能をもっと詳しく知りたい
スマホの性能の一つとしてCPUの性能がありますが、色々とややこしいですよね。周波数で比べるだけでは無意味って話だし、CPUの会社によって特徴も違うって話だし。それなので、もっと分かり易く最終的にどの位の性能になるのかを知りたくなるかと思います。
そこで登場してきたのが「ベンチマーク アプリ(ソフト)」です。性能の重要な所を実際に測定して結果を表示してくれるソフトです。実際に、私の持っている年季の入ったスマホのSC-02Cを、ベンチマークソフトとしてはメジャー所のAnTuTuのver5.7.5で試してみたのがこちらです。Priori 3 LTEが2万らしいのですが、結果はどうでしょうか....
SC-02C 測定結果
1.6万!?ちぇ〜('ε')
それはさておいて、何やら色んな項目があってそれに対して数字が書いてありますね。この項目がAnTuTuの設計者にとって「性能を見る時に重要」な箇所で、数字が「どれだけの処理を行えたか」の値になっています。実際にどんなことを調べた結果が載っているかというと、ざっくりとした説明になりますが上から順に、
UX(ユーザー体験、”使い易さ”みたいな感じ):
・並列で作業する時の早さ
・仕事内容の書かれた書類を読めるように翻訳する早さ
CPU(中央演算装置):
・少数点が入らない計算。主に足し算や引き算だったり、もし○○だったら〜という条件分岐で良く使う。
・小数点が入る計算。確率や割合を計算する場合に良く使うし、3Dの行列計算はこれを使いまくる。
・1つの作業をする時の 小数点が入らない計算。
・1つの作業をする時の 小数点が入る計算。
RAM(メインメモリ):
・メインメモリを使って作業している時の早さ(だと思う...)。予想ですが、メインメモリを使わないで処理できる簡単なプログラムだと実際の使用とは大きく異なった早い結果になってしまう為、メインメモリを使うようにした処理かな(?−?
・メインメモリの読み書きの早さ。言い換えると、どれだけCPUの性能を発揮できるかの性能。
GPU(画像演算装置):
・2D(平面)の画像処理の早さ。主に点や線、画像の表示や拡大・縮小、移動等の基本的な画像処理全般。
・3D(立体)の画像処理能力の早さ。立体と言っても画面は平面なので、立体の物を平面に変換する為の色々な処理をする。その為、表示されたものが2Dに見えても実は3Dな事もあるので注意。
IO(入出力):
・SSD(スマホだと通常ROMと記載されているもの)の読み書きの早さ。CPUやRAMよりもかなり遅いが、アプリを起動する時や何かを保存したりする時に使うので全体的な動作テンポの良し悪しに繋がり易い。
・外部のSDカード等の読み書きの早さ(多分)。
といった感じになっています。こんなに項目が多いと覚えたくなくなりますよね。理屈が全く分からないのにこんなに項目を覚えろと言われたら、途中で睡魔に襲われて寝てしまいそうです。それなので、スマホの使い方によって何処の項目を注意して見ていく必要があるかをチェックして、見るべき項目を絞っていきたいと思います。一番大事なところが分かったら、他の項目は後回しで良いでしょう。
スマホの使い方と見るべき項目
どのような項目を重視すれば良いのか、スマホの使い方別に分けてみました。
やること チェック項目 理由
ソーシャル
ゲーム
無し ソーシャルゲームは絵を表示して音を鳴らす程度の簡単な処理のものが大半なので性能は殆ど必要無い。
反面、設計が悪くて無駄に性能が必要になっている物もあるかも。
安価な
スマホゲーム
無し 安価な物は手軽で簡単な物が多いのでスマホの性能も高くなくて良い。敢えて言えば、CPUの浮動小数点演算と3Dグラフィックスかな。
高価な
スマホゲーム
全部 本格的なゲームは全部の性能が必要です。言い換えると、全ての値が高い(良い)のを選んだ方が良いです。
サイト巡り 無し 処理としては軽い物なので気にする必要は殆ど無い。敢えて言えば、CPUの整数演算と2Dグラフィックスかな。
動画再生 CPU性能 動画の再生の処理は結構性能が必要なので高めであった方が良い。但し、実際は動画再生支援があるかどうかの方が肝心かも。
動画作成 CPU性能 スマホではこの使用方法はあまり無いと思うけど、動画のエンコードはそれはもう大変なCPU性能が必要なので高性能であればあるだけ良いです。
音楽 無し 曲の再生は簡単な処理なので性能は問いません。敢えて言えば、保存容量の方でしょうか。
電話 無し 電話の機能は当たり前なので、音質や繋がりやすさといった別の調査をした方が良いです。
カーナビ 無し カーナビは処理性能よりもどれだけ電波を掴まえ易いかのGPS周りの性能をチェックする必要があります。
カメラ 無し 画像処理はCPU性能が必要な処理ですが、大抵はカメラの性能と比例するような形になっているので特に気にする必要なありません。
上記の表を見て分かるように、基本的な性能についてはかなり安価な製品でも十分な性能を持っているので、ゲームのような極端に性能を求めるものをしない限りはベンチマークの性能を気にする必要が殆どありません。寧ろ、ベンチマークではあまり評価されないけど使い勝手に影響する”保存容量”であったり、電話の入りが気になるのであれば”対応している電波帯”、カーナビの精度が気になるのであれば”GPS規格の対応状況”、カメラの映りが気になるのであれば”カメラ性能”といった別の観点から調査を行った方が良いのです。
このような結論ですと、ここまで読んできたのにあまり意味が無かったのか〜と (´・ω・`)ションボリ してしまうので、ベンチマークについてもう少し深い所に突っ込んでちょっと重要な話をしたいと思います。
ベンチマークは日々進化しないといけないので比較し辛い
少し話が逸れますが、技術が急成長するってことはあまりありません。何か凄いものが出てきたぞ!?となっても、実際にはそこに至るまでに小さなものが積み重ねになっていてそれらがある水準に達した時に開花したりするものです。成長速度が著しいと言われる半導体の世界でも、何だかんだで以前のものに比べて20%も性能がアップしたら大喜びだったりします。下手すれば10%にも満たない差になってしまうことも多いのです。
例えば、計算を実行してから結果が表示されるのにAだと1秒掛かっていたとします。この時、Aに対してBの方の計算の性能が10%上がったとすると、Bを使って計算すれば掛かる時間は0.9秒に短縮されます。この0.1秒の差が体感出来るかは疑問が残りますが、一応は差が体感として分かったとしましょう。しかしながら、計算が終わった後に通信の処理としての待ち時間が必要で、これが2秒掛かるとします。この通信の処理はCPU性能に殆ど影響ないのでAとB差が出ないとすると、実際にユーザーが待ち時間として感じるのはAだと1秒+2秒で3秒、Bだと0.9秒+2秒で2.9秒なのです。こうなってきた時に差が分かるのか?と考えると凄く疑問になってきます。実際、このような状況が稀であるなら良いのですが、良くある状況なのです。
そうすると、性能の差を体感で測るのは結構難しいのでベンチマークの出番です。これならば技術者達が苦労して高めた性能を証明してくれます。しかし、ここに落とし穴がありました。
通常、設計というのは製品のバラつきを考慮に入れて、悪い方にバラついてしまった製品でも不良品として排除しないで良品になるように設計します。かと言って、低性能であったら競争には勝てない訳です。それなので、どちらかと言えば「最低限の余裕」を持った設計になっていきます。でも余裕があることには違いありません。
この余裕を無くした状態でベンチマークを行うとどうでしょう?なんと、余裕の分だけ以前よりも高性能に見えます!これがベンチマークを行っている間しか出せないような限られた条件での性能であっても、ベンチマークソフトがその事に気付いてなければ分からないのです。元々、性能は僅かな差なのです。ベンチマーク以外の時に感じられる程の差が無いなら、ベンチマーク以外の時に元の少しだけ悪い性能に戻ったって気付く筈がありません。
それなので、ベンチマークの時だけオーバークロックして性能を水増しした状態で動かしてみたり、製品を選別して一番性能が良い製品を情報誌に提供してベンチマークを取って貰ったり、ベンチマークのソフトが行う処理を把握して別の簡易の処理に置き換えてみたり...こういった細工は過去に色んな会社が実施したもので、その都度問題になっています。スマホだと Galaxy S4 等で話題になった事もありますが、この手の問題は1社だけが問題になるのではなく何処かの1社がやり始めたら他社もやるのが特徴でして、水増し勝負になってしまったベンチマークの測定結果が嘘っぽい物になってきます。
更に問題を複雑にする事実が、ベンチマークはあくまでそのソフトを設計した人の考える「公平らしさ」だということです。それこそ、ベンチマークを取られる側のハード側の設計者にとっては「不公平」と思われることだってあります。ベンチマークは「公平に性能を比較する為のソフト」ですが、その「性能評価」の方法に不公平に感じているハード側の認識の方がより正しかった場合、ユーザーにとっては望まない状況になってくるのです。それこそ、ベンチマークソフトの仕様に合わせて不公平に感じていたハード側が設計を変えて、ユーザーが本当は望んでいない方向で新商品を出すかもしれません。もしくはそれを望まないハード側が、ベンチマークを非難するかもしれません。
こうなった時、ベンチマークの信頼性が揺らぎます。結果、「実際とは違うデータを測っているだけのソフト」とみなされてしまうのです。これではそのような意味の無いソフトを使う人もいなくなりますので、ベンチマークを作っている側も「細工できず」「なるべく公平になるように」日々、ソフトを改良していきます。この結果、評価方法が変わってしまって同じ条件で評価出来なくなってしまうのです。
ベンチマークは公平さの難しさをあらわしている
長々と説明してきましたが、要はベンチマークというものは「公平さを配慮して作られてはいるが、結果はあくまでも参考値」になってしまうものなのです。そして年月が経つと比較も難しいです。元々は「比較する為に生まれてきた」のに、「信頼性を維持する」為に「比較出来なくなっていく」という性質を持つベンチマーク...そんなベンチマークに踏み込んで性能を細かく調べてみたくなりましたら、注意深く色々な角度から調べてみて下さい。ベンチマークの数値は何を大きく評価するのか、何かデータを水増しするような条件になっていないか、試料数は適正(通常これはほぼ確実に不適正です)なのか....。このような考察が必要な状況はベンチマークを作っている人にとって本望では無いと思いますが、ベンチマークの限界と意味合いを一番理解して活用している方法だと思います。
最後に、スマホの性能についての用語説明の初級編のリンクを貼っておきますのでご興味がある方はご利用下さい。
←←スマホ性能表さくっと解説 「バッテリー・CPU」
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最終更新日:2015年11月27日